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チームで対応する社内体制を

更新日2017/04/12

 前回までは、主として対注文者との関連で述べてきた。対処法の第五は、社内体制についてである。クレーム対応の第一責任者は工事担当者であることは当然である。しかし、クレームが発生したら担当者を一人にしないことである。一般的な状況をみると、クレーム処理を担当者一人に押しつける傾向にある。押しつけは絶対に駄目である。むしろサポート役を必ずつけるということでなくてはならない。

チームワーク 営業は一人でもできるが、クレーム処理はチームワークで対応する体制をつくっておく必要がある。注文者宅へ二人以上で行けば、第一に気持ちの上で楽になるはずである。注文者は怒っているし、たいがいの場合、注文者の方も家族とくに夫婦で話をしてくることが多い。

 なぜなら、注文者は夫でも住宅は家族の生活の場であり、不満は家族全員なかんずく、妻が感じていることが多いからである。一人で赴き、夫婦から交互に怒りをぶつけられ、注文を出されたらとても冷静に対応できない。メモをとる余裕もなくなる。

 二人以上で行く第二のメリットは、全体的に柔軟な対応をすることができることである。全体的に柔軟とは、一人が聞き役に徹すれば注文者の怒りを和らげ、苦情の内容を整理することができ、もう一人がとりあえず会社側として可能なことと不可能(拒否回答)なことをきちんと告げることができるからである。

 前に述べたように、注文者に期待を持たせるような回答はすべきではないが、一人で応対していると怒りから逃げるため、早く切り上げたいという心境から、注文者の主張をとりあえず「検討します」と言ってしまいがちだからである。

 例えば、一人がお客さんの注文に応じるかのような言葉を言っても、傍にいる他の者がその人に応じることは難しいのではないかと、口を入れることにより、その場での応諾を避けることができる。

 第三のメリットは、その場での関係者の発言に対する証人役となることができるということである。よくあることだが、話がこじれる原因の一つに、その場で会社側が注文者の注文を応諾したか否かが問題となることがある。

 注文者の中にはその処理にたけていて、その場では確認しなくて、後日、あの日会社側はこの点を認めたのだから、そのことを認める書面にサインをしろ、と迫ってくることがある。一人で行っていると、それを拒む事が難しい。チームで行けば、会社側ではそのような発言をしていないと、明確にすることができる。


安易な妥協は新たな火種に

更新日2017/03/29

 対処法の第四は、安易な妥協はするなということ。今まで述べてきたお客さんとの対応の締めくくりとなるが、早く解決したい、事を大きくしたくない、という消極的判断の下、安易な妥協をする例が沢山ある。実は、安易な妥協は新たな火種になっているのだ。その理由はいくつかある。

火種 一つはお客さん側に自己の主張は正しかったという心理を生ませてしまうことである。本当に正しかったことであればよいが、安易な妥協というのは、お客さん側の過大要求に会社側が目を瞑(つぶ)った結果ということであるから、すべてが正しかったことではない筈である。過大要求に気がつかなければ、次にもまた要求をしたくなるのが人間の心理でもある。つまり、お客さん側としても、正当な要求の限界が分からなくなってしまっているので、一旦は妥協により解決してしまったと思っていても、次なる標的が見つかれば、そこにまた過大要求の目がいってしまうのである。

 二つ目は、次なる要求を拒みにくくしてしまうということである。一旦、腰を引き始めれば、土俵の外(建て替えという最悪な状態)に出されるまで、要求が拡大していく。それを押さえにくくしてしまうのが、始めの安易な妥協だ。

 安易な妥協の中に一番多いのが、金銭解決である。担当者としては、クレーム問題が会社のトップの方に行かないためには、金銭解決が一番てっとり早い。注文者側としては、クレーム解決に金銭は当然と思っている。従って、そこに話がいきやすい。

 ここで、問題なのは金銭解決の基準がお客さんと会社とで大きな開きがあるということだ。お客さんの方では、迷惑料は100万円以下とは考えていないことが多い。すぐ話は大きな金額から始まる可能性がある。クレーム対処の基本は、あくまで瑕疵の補修である。補修に自信がないと金銭に流れてしまう。自分が造ったものをきちんと直す位、自信をもってできなければ駄目だ。

 ある一流の建築会社では「当社は金銭は出せません。きちんとした補修をさせて頂くということでお許し下さい」というのを原則としていると聞いた。大切なのは心構えである。とは言っても金銭の提示をせざるを得ない場合も多々ある。その時は、会社の基準があればその基準以内で、それ以上となりそうな場合は「これ以上では、私では結論が出せません。弁護士等と相談してみます」と言ってなるべく金銭提案は、弁護士等にさせることである。安易な妥協の例はいとまがない位多いが、後日、実例を挙げて検討させて頂く。


はっきりした態度で対応を

更新日2017/03/15

 対処法第三は、第二と基本的に同じであるが、担当者としての態度をはっきりさせるということ。申し訳ないという気持ちが強かったり、お客さんに怒られると怖いと思っていると、自ずとお客さんペースに事が運び、担当者としての考えを伝えることができなくなる。悪気はなくても、注文者としてはクレームに対する対処として過大な要求をしてくることがある。

 その要求に曖昧な対応をすれば、注文者の方では要求を呑んでくれたと思い込む。したがって、できないことはできないとはっきり答えなくてはならない。少なくともその場ではっきりと答えられないことは、曖昧に応じるのではなく「持ち帰って調査した上返答する」と明確に注文者に伝えなければならない。

詫びる その際、なるべく「検討します」という言葉は使わないようにしなければならない。なぜなら、「検討します」という言葉は、日本語では「受け入れる」という風に思われがちだからである。お客さんに期待を持たせるような言葉は使わないようにしなければ駄目である。

 お客さんの言い分を呑む可能性が強いときは「慎重に検討します」と言って、実際よく検討した結果、お客さんの言い分を受け入れればよい。要するに曖昧はよくないということである。また、その場で決定しなければならないときは、注文者からのクレームの対処についても最終的に注文者に決定してもらうということである。その意思表明が会社として呑めないと判断したら、思い切って「お話の内容はよく分かりましたが、当社としては、○○様の要求には応じられません」とはっきり言うこと。「何とかならないか」という要求にも「これ以上は駄目です」ときっぱり言うことである。

 実際にあった話で、会社の代表者が注文者に会いに行くことになったとき、私に基本的な心構えを聞きに来た。そこで、上記のような話をした。代表者がその心構えで注文者に毅然たる態度で拒否回答をしたら、注文者が怒りだし、いきなり襟首を掴まれたそうだ。それでも冷静に対応し、拒否理由を繰り返し述べた。その時は、喧嘩別れのような状態であったが、後日、注文者の方で折れてきたそうだ。そして、その注文者が言うには「社長の毅然たる態度で、かえって得心がいった。これからもよろしく頼む」と言われたそうだ。

 曖昧さはお客さんの方にも曖昧な心理状態を起こさせ、甘い期待を抱かせる。それが実現しなかったら、落胆が大きい。それが不満に繋がることになる。


きちんと詫びて、言い訳しない

更新日2017/03/01

 対処法の二つ目は、お客と会った時の応対の仕方その1というべき「詫び方」である。詫びはきちんと詫びるということ。クレーム処理に行くのだから、詫びるのは当然と思っていると思う。私が言いたいのは、詫び方である。心から詫びるのは当然として、逃げる為の詫びであってはならない。

 注文者が怒っていると、ついそれだけで小さくなって、詫び続けるということをよく耳にする。詫び過ぎると心が逃げに入り、注文者の話もよく聞けなくなっていく。注文者の方として「謝ってすむなら、お巡りさんはいらない」という心境になってくる。謝るよりも早くきちんと対応しようという気持ちが必要だ。

詫びる では、どんな風に詫びるのか。うまく表現はできないが、堂々と詫びるということ。注文者の怒りの声をまっすぐ目をみながら聞き、何が問題なのかをはっきりと見極めるようにすること。詫びは、一言でもきちんとされていれば、注文者の気持ちは落ち着く。それからクレームの本題に入っても注文者は納得する。

 詫びで注意することは、言い訳をしないということだ。言い訳をすると、そのことでまだ紛糾することになりかねなくなり、せっかくの詫びが帳消しになりかねない。詫びた後は、クレームの内容について注文者の話をじっくりと聞く。一回目は、原則聞きに徹する。むやみな反論はしない。じっくりと聞くためには、メモをしっかりと取ること。メモを取っていると注文者の言葉に曖昧さがあっても、それを確認することができる。注文者としても、メモを取っていてくれると安心する。できたら、確認したことをその場で書面にし、注文者にもサインをもらっておくとよい。いつのときもそうだが、言った言わないが後で問題になることが多いからだ。

 また、注文者からはその場で了解をもらったこともきちんと書面化しておかないと、その場ではオーケーしてもらったと思っても、展開次第では了解していないとうことになってしまうからだ。この問題は追加変更工事の時などに大変重要なので、そこで詳述する。要するに、クレームでお客様に会いに行ったら、堂々と詫び、その後の処置について冷静に進めていくことが大切であるということだ。但し、確認書面のとり方も決して易しいものではない。下手な妥協や詫び文書になってしまうと後でそれが負担となる。その実例も後日お話しする。


まず第一に「迅速な対応」

更新日2017/02/15

Q.クレームが発生したとき、一般的に心掛けておくべき対処法があれば、分かりやすく説明して下さい。

A.会社によっていろいろと対処法を分かりやすく掲げていると思うが、私も自分の経験則からクレーム対処法としてとりあえず7カ条を掲げている。その内容について説明してみる。

迅速な対応 まず第1が「迅速な対応」である。ごく当たり前のことだが、これが守られていない業者がかなりある。クレーム処理は後ろ向きの仕事だからつい気持ちも後ろ向きになる。すると、動きが鈍くなる。

 私自身、つい最近こんな思いをした。それは我が家で洗濯機を購入したが、洗濯機に問題が発生したことに始まった。問題というのは、乾燥にスイッチを入れると気持ちが悪くなる臭気が発生したというものである。

 私は機械の製造会社に電話した。応対した人は、そのような苦情は販売店を通してほしいということだった。私は販売上の問題でなく、機械そのものの問題だから、メーカーが対応すべきではないかと強く主張した。それを受けて相談担当者が電話をかけてきた。販売店と連絡をとってから機械を見に来るという。すぐに見に来るように伝えたが、結局来たのが2日後。かなり頭にきていた。きっと建物の注文者もこんな気持ちになるのだろうなと思った。

怒り 見に来た人いわく「新しいので臭いが出ますが、いずれ消えます」。我が家ではその前に同社の洗濯機を購入していて、臭いが発生しなかったので、その旨を言い、新しいから臭いが出るものではないと反論。取替を要求。するとまたも担当者は、販売店に聞いてみないと分からないと言う答。これにはさすがに怒りを覚えた。

 会社にこのことを伝えると少し上の人が対応した。その人は、取替を承諾。しかし、一週間は見てくれという。仕方なくそれを呑んだ。確かに次第に臭いは薄くなっていったが、今さらこの機械でいいとも言いたくなかった。念のため、保健所でホルムアルデヒドの検査をしてもらった。その結果は、0.16ppmで基準指針値の倍であった。保健所の人の話では、一週間以内にこの数値だから、当初はもっと何倍もの数値だったのだろうとのことであった。

 いずれにしても、迅速な対応をしてくれていれば、私の怒りも小さく、機械の取替までは要求しなかったかもしれない。つくづく、始めの対応が大切なことだと思った。