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社長の直接謝罪はすべきか

更新日2017/08/16

Q.ユーザーから解決する前に社長からまず謝罪をして欲しいと言われています。 どう対応したらよいでしょうか。

A.社長への直訴や社長の謝罪要求はユーザーからすれば怒りを納める手段です。

 最近、社会的不祥事が発生すると、まず企業の代表者が謝罪するのが日常的になっています。ですから、ユーザーからすると自分のクレームに対しても社長が謝罪するのは当然であると思うでしょう。クレームの内容にもよりますが、最終的に社長が謝罪をする必要がある場合もあるでしょう。しかし、担当者への不満が高じた結果、担当者への圧力として社長に直接謝罪を要求するケースもあります。その場合は、きちんと断ることも大切です。

手紙 私が担当した事件で、まず私と話し合う前に社長へ謝罪を要求されたことがありました。そのとき面と向かって断るのはどうかと思い、手紙を出すことにしました。その内容は以下の通りです。

 『例えば、雪印乳業やそごうなど最近の大企業の不祥事をみると、トップが頭を下げざるを得ない状況が多いように思います。しかし、私はトップは会社全体のことを考えるべきであって、社員の一つ一つの仕事に対しその是非まで口を挟むのはよいことではないと思います。大きな企業のトップが一つ一つの仕事に対し、是非を判断していたら会社は成り立たず、ひいては社員を路頭に迷わせると思うからです。他面、謝罪をすることも必要な場合があるのは前記の通りです。その境が難しいとは思います。日本ではまだまだ社員はトップに気兼ねしてトップに謝罪するように頼むことは困難だと思います。かえって、哀しいサラリーマンの習性としてトップに恥をかかせたくないと一生懸命のところがあると思います。私は貴殿に対して社員の対応については弁護をしていますが、社長には常日頃社員教育について私なりの意見を述べています。トップの謝罪という代理人としては大変悩ましいご指摘を受け、お前の考えはどうかと聞かれても上手く答えることはできませんでしたが、私の思っていることの少しでもご理解願えたらと思い、書面をしたためました。自分自身が悩んでいる問題を貴殿にご理解頂くことは難しいと思いますが、それでも私の考えの一端をお知り頂きたく一筆啓上致しました』

 ユーザーからは理解を得られ、その後、間もなく解決しました。


社長名での返事は控えるべき

更新日2017/08/02

書面Q.ユーザーから社長へのクレームの書面が届きました。社長自らがこれに答えなければならいないでしょうか。

A.担当者のクレーム対応がユーザーの思うように進んでいない場合とか、担当者の対応が気に入らない場合などのとき、ユーザーとしては会社の最高責任者に自分の怒りの気持ちを伝えたいと思うのは自然のことです。

 したがって、そのことで右往左往しないことです。社長への書面もその時期・内容など、さまざまなので一概にどう対応すればよいか決めるのは困難です。

 しかし、基本的に社長自らが返事を出すことは控えるべきです。それは、社長が個別のクレームに対応する立場にないからです。自身が対応できない立場にある者が名前だけ出すのは無責任となりかねません。書面に名前を出す者は仮にユーザーから直接電話などで問い合わせがあった場合にきちんと答えを出せるくらいクレームに対し理解をする者でなければかえって失礼にあたります。

 社長名で返事を出すとは社長がユーザーと直接対応することもあると考えた上で、どうするかを決めてください。社長が自らが解決の最前線に立たなければ解決しないということであれば、きちんとクレーム内容を理解し、対応策も揺るぎないものにしてその内容を明確にして社長名で返事をすることです。

 そこまではいかないが、ユーザーとしても社長に知っておいて欲しいというくらいであれば、本来は社長以外の名前で出すべきです。どうしても社長名で返事をということであれば、書面は読んだが会社の組織としてクレーム担当役員に対応を委ねていることを明らかにする書面を出すのがいいでしょう。

 要するに、社長名で出す以上、今後ユーザーから何度も書面がきても基本的な考えは変わらないことを分かってもらう内容にしなければいけないということです。直接社長に書面を出したら、その後の担当者の対応がガラリと変わったということが一番よくないことです。

 もちろん、担当者に誤りがあればそれは正さなければなりません。担当者も社長に迷惑がかかることを恐れて態度を変えてはなりません。態度を変えればユーザーとしては自分の気に入らないことが起これば再び社長に書面を出すという事態に陥っていきます。

 社長も部下を信用して任せるという気持ちが必要です。決して担当者を萎縮させないでください。クレーム対処は二人三脚の気持ちが大事です。


建物には瑕疵担保責任あり

更新日2017/07/19

第三者が宅地造成をした土地の上に建物を建てた業者の責任について

Q.ある大手の宅地造成業者が造成した土地を購入した後、Aさんに建築条件付きで売買し建物を完成した。ところが、軟弱地盤だったのか建物が傾いてきた。業者の責任はどうなるのか。

A.まず、土地についてどう考えるか。軟弱地盤であったことが民法第570条同566条の限られた瑕疵にあたるかを検討する。隠れたる瑕疵の定義としては、売買の目的物が通常有するべき品質・性能を欠いていることで、そのための価値が損なわれたり減少し、そのことが売買契約時に通常の注意をもってしても、知り得なかったことをいうとされている。

土地 したがって、専門家の調査や異常の発生によって初めて軟弱地盤が明らかになったのであれば、隠れた瑕疵といえる。問題は、瑕疵担保期間が約定されていた場合、その期間を過ぎて瑕疵が発生した場合である。瑕疵担保期間は当事者間で定めることができるので、その期間を過ぎれば瑕疵担保の責任追及はできない。瑕疵の発生が10年を過ぎた場合は、除斥期間が経過したとして免責される。とはいえ、現実に建物が傾斜していると10年を過ぎたからと責任を逃れようとしても難しい場合がある。

 しかし、Aさんにまずは法的には責任がないことを理解してもらうことことは絶対に必要である。その上で、一部損害を補填することを考えるというのが交渉のあり方といえる。もっともAさんはなかなか納得はしないと思われる。仮にAさんに損害賠償をした場合、業者はその土地の売主である宅地業者に損害の補填を求めることができる。

建物 次に建物についてであるが、土地に瑕疵があってその原因に基づいて建物が傾斜したのであれば、建物にも瑕疵があるということになる。建物に瑕疵がある以上、請負人としては瑕疵担保責任は免れない。請負契約の瑕疵担保には、注文者に修補請求と損害賠償請求が認められている。

 しかし、建物の請負契約には解除権はない。なぜかといえば、建物の建築請負は完成すると代替性がないことが原則である。契約の解除は完成した物を壊すことになり、社会経済上も損失が大きいからである。ただし、最近重大な欠陥住宅の発生を阻止するため、場合によっては契約解除が認められるようになった。それは別稿で具体例を挙げながら説明する。

 また請負は完成前には注文者の解除権があることは覚えておかなければならない(民法第6741条)。この規程は仕事が完成する前であれば、何時でも理由の如何を問わず契約を解除することができるとしている。ただし、請負業者の損害を賠償しなければならない。


建物引き渡し時に代金回収を

更新日2017/07/05

Q.先日、建物を完成して注文者に引き渡したのですが、少し駄目工事が残っていたのと、若干、補修しなければならない所が出てきました。しかし、それはわずかですし、金銭的にはたいしたことがないのに、注文者の方は 「少しでも手直しが残っていれば、建物が完成したとは言えない。したがって、残金は支払えない」 と言ってお金をくれません。しかも、完成日よりも遅れるので遅延損害金を残金から差し引くと言っています。駄目工事や補修工事をやろうにもいろいろ細かいことを言ってくるので着手できません。やはり駄目工事が残っていれば建物は完成していないのでしょうか。

A.まず代金回収の基本ができていませんね。代金回収の大原則は、建物の引き渡し時にお金をもらうということです。分かっているけどいろいろ理由があって、とりあえずは引き渡してしまうのですと担当者は言い訳します。よく聞くとほとんどの場合、担当者の判断の甘さによります。

 具体的な事例は、後日別稿で述べさせてもらいますが、要するに代金をもらうまでは絶対に建物を引き渡さないという意識を常日頃強く持っていることです。極端な話、どんな理由があっても 「お金を頂くまでは建物を引き渡さない」 といえば、注文者の方は1日でも早く入居したがっているから、とりあえずは支払ってくれます。それでも支払ってくれないような原因があればまず、その原因を解決することが先決です。

 ところで、本問の場合ですが、建物の完成とは通常人が住めるような状況に柱・屋根・壁等が出来上がっていることで駄目工事が残っていても建物が未完成という訳ではありません。

代金 昔は、入居しているのに補修工事があるといって代金を支払わない注文者に対しては、引き渡してから代金支払まで業者側から注文者に遅延損害金を請求できました。注文者の方でも、補修工事に要する費用が大きくなって、損になる可能性がありました。そのバランスの中で折り合うこともできましたが、平成9年の最高裁判所判決によって補修工事請求と代金支払いは同時履行の関係にあるとなりました。したがって、注文者の損害賠償見込額を予め控除して残代金を請求する等工夫しないと遅延損害金の請求は困難です。

 しかし、建物は完成しているといえるので注文者から業者に対し、完成未到来理由とする遅延損害金の請求は認められません。また補修等にいろいろ注文をつけてくるようなら、その是非を書面で明らかにして、早く着工できるよう促しておくことが必要です。


ユーザーとの深い絆つくろう

更新日2017/06/21

 ところで、クレーム対処法を営業と思えというのはかなり無理を言っているようである。しかし、「クレームはまず怒られることから始まる」と腹をくくればユーザーの所にいくのも決して嫌とばかりは思わないだろう。

 嫌々行けば、ユーザーの方も担当者をますます追いつめたくなるだろう。人間の心理の不可思議なことは、相手が弱そうと思うといじめたくなる、という意地悪な面をもっていることだろう。怒られて当然と思っていけば、ある程度の堂々とした態度がとれるというものだ。しっかりとユーザーの目を見て話をすることもできる。

 さて、怒られてばかりでは再度足を運べと言われても運びづらい。もちろん、瑕疵があるから呼ばれるので、まずは瑕疵の補修ということで、否応なく何度でもユーザー宅に足を運ぶことになるだろう。それでも、単に補修のためにだけ足を運ぶのと、それを機会にユーザーとさらに深い絆をつくろうという気持ちがあるのとでは、大変な違いだ。

 深い絆をつくる方法は、ユーザーが指摘する瑕疵以外に他に何かユーザーに不満はないか、困っていることはないか、聞き出してくることであろう。ユーザーも住み始めると注文していた時には気づかなかったことが結構出てきて、担当者に聞いてみたいと思っているものである。クレームが処理されたからといって、ユーザーから感謝の言葉などは出てこないが、注文者から色々聞き出してあげれば、心の中では意外と喜んでいる筈である。

心をつかむ サンダース著の「サービスが伝説になる時」という本の中に「苦情を言う人のうち56~70%の人は、苦情が解決された場合、その企業と再び取引したいと考える。その比率は、解決が迅速に行われた場合96%まで跳ね上がる」と書かれているそうだ。

 つまり、担当者としてはせっかく足を運ぶ以上、指摘された瑕疵をじっくりと点検した後、その他に何か不満な個所がないか、ついでに建物全体をチェックしてみることである。ユーザーとしては、何時も会社が自分の建物をみてくれていると思うと安心するし、熱心な担当者だと思うと信頼感が湧いてくるものである。もちろん、単なるパフォーマンスであってはならない。

 表の営業もクレームに向かう時の裏営業もいずれも心を込めて対応することが一番ということである。