SUMIKA 10号
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生活のシーンをイメージして適切な光を届けることが大切だと太田さんは言う。「適切な光が届いていない状況はストレスを生じさせます。だから最低限の配慮は必要。ただ、それにあまり神経質になりすぎても光が機能性を求めただけのものになってしまい、どこかゆとりのない空間になりかねません」。 照明器具は大きく3つに分けられる。①光源を発する道具としての照明、②モニュメントのように器具自体が彩りを加える照明、③器具を隠し、光だけを届ける照明(間接照明)だ。多くの場合①が用いられるが、ダイニングやエントランスなど印象的な空間にしたい場合は②や③をポイントとして使う。例えばエントランスに表情のある照明を設置することで帰ってきたという実感が増すという効果がある。太田さんの「棲みか」では、道具としての最低限の機能を備えたシンプルなものを選ぶことが多い。そのときどきの気持ちの変化や数年後の好みの変化に対応できる余地を残しておくためだ。「同じ道具としての照明でも、器具を天井に埋め込むなど建築化してしまうとあとから変えることができないので、慎重に考えた方がいいでしょう。また、建物自体が舞台装置のようになりがちで、生活のリアリティーが薄れてしまいます」。自然光の取り入れ方 もう一つ、忘れてならないのが自然光の取り入れ方だ。人工光と比べれば家づくりでこの光に目を向ける施主は多い印象。室内で完結しがちな今の住宅事情のなかで、自然光は外の環境との関わりを可視化する意味を持ち、非常に重要な役割を担っている。その部屋がそこだけで閉じているのではなく、まるで外とつながっているような空間の広がりを感じさせるのだ。 自然光は場所と建物の固有の条件によって求められるものや実現できるものが異なる。例えば土地の状況、まわりの景色、周辺環境などが当てはまる。その中で適切な手法を探すことが大切だ。太田さんも建物ごとに1カ所は外を感じられる場所を作りたいと考え、多少おおげさになってもその建物なりの光の扱い方を見つけるように心がけている。直接的に差す光、室内を満たす光、くだけて散らばるような光、やんわりと反射しながら入る光。どのような光がより外との関係を感じさせるかを考えるそうだ。これから家を建てる人へ 光に限った事ではなく、明るければよい、広ければよい、便利だったらよいと思い込んでいる人は多いのではないだろうか。人の暮らしはそのような枠にあてはめられるものではないはず。光や暮らしはこうでなければならないという固定概念を一度取り払い、どのように過ごしたいかを考え直し、新しい生活の形を家づくりのパートナーとともに見つけ出してほしい。光の計画Plan of the light太田則宏建築事務所住所/鹿児島市小松原2-20-12電話/099-266-5018http://onoken-web.comcompany overviewProle太田 則宏1975年 奈良県五條市に生まれる1989年 屋久島へ移住1998年 大阪市立大学工学部建築学科卒業1999年 東京設計学校卒業1999~2001年 MAGIC BUS BUILDINGWORKSHOP (東京)勤務、一級建築士取得2002年 鹿児島県国分市(現 霧島市)に妹夫婦の     住宅建設のため大工見習いに2002年9月 末吉建築事務所(鹿児島)勤務2010年10月 太田則宏建築事務所開設135

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