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地元工務店の「真の姿」

敷物としての畳にほれ込む
伝統の本畳床にこだわり、海外にも目を向ける

vol.011

畳工房(有)山下製畳 専務取締役
山下 弘 氏

 れいめい高校から福岡大学工学部建築学科を経て設計士を目指すものの、畳作りに目覚め訓練校で修行を積み帰郷。三代目を目指し畳職人としての腕を究めている。畳一級技能士、品質管理推進適任者の資格を持つ。家族は、妻みちよさん、子ども3人の5人暮らし。薩摩川内市入来町出身の41歳。会社は同町浦之名7568。

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 頂いた名刺に「三代目」の文字が躍る。ニーズを汲み取り、日本古来の敷物文化が持つ畳の良さを伝えたい―と職人技に憧れ、この道へ。一生修行の思いを胸に刻み、きょうも職人技を磨く。
 「適度の弾力性があり、高い保温性、調湿性、空気清浄機能に優れる畳は、和の佇まいを演出するのに欠かせない。市場は厳しいが、しっかり伝統を受け継ぎ、畳づくりを通して住まい造りの一翼を担って行きたい」と、意欲を見せる。

 子どもの頃、朝から晩まで働き詰めだった父の姿に「畳屋は嫌」と言って一朗さんを困らせたこともあり、一旦は諦めた家業の継承。
 しかし、大学で建築を学び設計の仕事を目指したものの心が満たされず、25歳の時に畳職人として生きることを決意。埼玉県畳高等職業訓練校で3年半修行を積んだ。「総仕上げの過程で課された畳屋の住み込み実地は、今の自分を支える原動力」と振り返る。

 畳業界は、住宅の洋風化、核家族の進行などで需要が激減、安い中国産のいぐさの輸入急増に伴い昭和47年をピークに減少。畳の芯になる畳床も稲わらからポリスチレン、インシュレーションボードなどに移行、伝統の本畳床(稲わら床)は減少の一途を辿る。

 山下製畳は、地元の稲作農家が生産した稲わらを原料にする本畳床にこだわり、生産を続ける。主流の建材畳8割、発泡スチロールなどを挟み込んだサンドイッチ畳が2割を占める中で、本畳床はわずか2~3%と言われる。本流の伝統的畳づくりに取組む貴重な存在だ。その仕事ぶりと商品が評価され、熊本城本丸に30種約650枚の畳床を納入した実績がある。
 10年ほど前から海外にも目を向け、ニューヨーク、ロサンゼルスで展示会を開催、日本の伝統文化である畳を敷物として売り込むなど輸出にも意欲を見せる。「関心は高く反応はよい」と、来年も開催の予定。

 裁断、框縫い、平刺しなど緻密な工程を経て繊細な仕上げが求められる和畳は、空気感、柔らかい質感が人気。ホームページ、フェイスブックなどデジタルコンテンツを駆使して売り込みに力が入る。

更新日:2015/11/17

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