住まいの創造人
分離発注で温かい家づくり
誰よりも信頼のおけるパートナーに
KUプラン一級建築士事務所 代表
倉内 博 氏
鹿児島工業高校建築科、大阪工大短期大学部建築科を卒業。県内外の設計事務所勤務を経て37歳の時に独立開業。とにかく、これまでいろいろな現場や、お客様の家に足を運んだ。初対面でも旧知の間柄のように人なつっこく話し掛け、相談に来た人がブーメランのように帰って来ることもあるそうだ。資格は、一級建築士のほかにホームインスペクター、一級土木施工管理技士、マンション管理士、住宅性能評価員、宅地建物取引士などを所有。趣味は、旅行、釣り、書道。好きな言葉は「真ん中を行こう」。広さ9畳程の事務所で、きょうも独創的で感性豊かな家の設計図を描く。テーマは、面白い家づくり。事務所所在地は、鹿児島市下伊敷1-21-2。同市出身の53歳。
設計コンセプトは「楽しく創って住まって心地の良い家」。依頼主、建築家、職人がパートナーとして参加する家づくり。
独立してまだ方向性が定まらない時期に、自分と同じような想いで家づくりに取り組んでいる建築家の仲間が全国にたくさんいることをインターネットで知り、「分離発注方式のオープンシステム」に参加。毎日が新鮮で楽しく面白く、依頼主と「とことん向き合う家づくり」を目指している。
子供の頃、近所の棟上げの様子を見て「家づくりって格好いいな」と、憧れた。この頃からモノづくりに興味を抱き、ごく自然な形で高校も建築科を選択、いつしか建築家の道を目指していた。
高校卒業後、大阪の学校でさらに2年間建築を学んだ。この後、大阪、東京の設計事務所などを経て、鹿児島市内の住宅建設会社に就職、10年弱の勤務後、37歳の時に独立開業に踏み切った。
これまでの実績は、戸建ての新築は約45棟(内25棟が分離発注による)で、ほかにリフォーム数十棟など。分離発注による新築は年間にすれば平均2棟ほどだが、そこには、倉内社長の決して妥協しない、吟味に吟味を重ねる「こだわりの家づくり」がある。
かねてから設計・施工のすべてを工務店に任せて依頼主はベルトコンベアーに乗る形の家づくりに疑問を抱いていた倉内社長は、依頼主が建築家のサポートを受けてそれぞれの専門業者を選定し、契約するオープンシステム(分離発注方式の家づくり)を行う設計事務所の集団があることを知った。
依頼主―建築家―職人が三者一体となって行う家づくりは、依頼主が積極的に参加し工務店の役割を果たすことから「家づくりのプロセス」を共有でき、その意向が直接現場に反映され、希望に沿った家づくりができる。
直接発注だからコスト削減にもつながる。デザイン、性能、機能、コスト分析、工事検査など建築家が依頼主のブレーンとなって家づくりをするため文字通り価格が見える家づくりが可能だ。
時間をかけて丁寧に、そして不具合があればすぐ手直しを指示する家づくりに共感を覚え、早速参加を決断した。小さな事務所が集まることで情報を発信し共有できる。また小さいから出来ることもたくさんある。
オープンシステムに参加する設計事務所は全国で約200社。「住む人が主役の家」「楽しみながらつくる」「安心の家づくり」が、このシステムのキーワードで、プランも各専門業者も使用資材も依頼主がチェックできる透明性も大きなメリット。「誰よりも信頼のおけるパートナー」が売り物だ。
社名のKUプランは、鹿児島ユニバーサルデザインの頭文字からつけた。家には、それぞれカラーがある。そこに住む人の暮らし方、住まい方、趣味嗜好。そのニーズをいかに汲み取り、反映させられるかが家づくりの満足度を高めるカギ―というのが持論。
倉内社長の提案力と行動力には定評がある。会ったら面白い人、遊び心あふれるプランナー、アイデアの引き出しの多い人として知られており、「ブーメランのように帰って来る人がいる」と、笑う。とにかく気軽になんでも相談しやすい気さくな人である。
倉内社長自身のコンセプトは「面白くて楽しい家」。お客様のアイデアに自分の意見を加えてプレゼンを行う。「普段着の言葉から真実を引き出す」「依頼主の理想に自分らしい提案を加える」「倉内というフィルターを通してモノを見る」など多彩で、時には掛け合い漫才のようなひとコマが目に浮かぶ。
昨年後半から習い始めた書道は、依頼主の表札や看板などに自分の文字で書けたらという思いがきっかけ。しかし、最初は同じところでつまずき、小さな壁を越えられなかったが、クリアできた瞬間、面白くなったそうだ。「いやぁ、これからが楽しみ」と一時間半の習い事にも力が入る。独身の頃、小さいバイクで国内各地を駆け回ったこともあり、旅行も趣味。
工法としては省エネ仕様の木造を基本とし、太陽熱を利用した空気循環システム「そよ風」、「そよ換気」の導入を推奨している。