住まいの創造人住まいの創造人

地元工務店の「真の姿」

いいものは、手間暇のかかる仕事
あなたの暮らしを建てる工務店

vol.034

(株)ベガハウス 代表取締役
八幡 秀樹 氏

 玉龍高校―工学院大学専門学校建築科(夜間)を経て住宅メーカーの太平住宅に約10年勤務後、家業を継ぐためUターン、平成15年から社長に就任。木造に特化した良質で時間のかかる家づくりに着手、コンセプトは「食から家づくりを考える工務店」。好きな言葉は、吉田松陰の名言「草莽崛起」(そうもうくつき=在野の志よ立ち上がれ)。趣味は読書、マラソン。家族は夫人、娘3人の5人暮らし。会社所在地は鹿児島市石谷町3624-9。霧島市出身の52歳。

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 「ほかの会社が真似るような企業になりたい」「だから手触り感が感じられる手間のかかる仕事、住まいづくりを追求したい」。何回も口をついて出た言葉だ。人材確保についても県外への流出から流入へ。産学共同で10年先を見据えて種まきをする会社へ―と力強い。会社経営は成長期から安定期へ。「本物を追求する中で、もう一回成長期に乗せたい」と、二代目はしっかり前を向く。

 同社は、父の常次さん(今年7月に78歳で他界)が昭和61年に創業した。最初は大手ハウスメーカーの工事店・徳栄建設としてスタート。金融機関の信頼も厚かった常次さんは数字にも強く堅実な経営で実績を積み上げてきた。
 当時は建てれば売れる時代。RC造にも参入して売上げを伸ばし、経営基盤を築いた。2億円弱だった売上げは、右肩上がりで12億円まで達した。しかし、メーカーが倒産したこともあって平成7年に脱工事店を宣言。家づくりの原点に返ろうと木造住宅に特化した事業へ大きく舵を切った。同12年には、オリジナルブランド「ベガハウス」の販売に乗り出し、地場の住宅メーカーとして再スタートした。
 社名のベガは、こと座の星の中で一番明るい恒星・七夕のおりひめ星に由来しており、輝き続けたいという思いが込められている。経営理念は「暮らしを建てる工務店」で、スーッと暮らしに馴染み、昔からそこに住んでいるような安心感を覚える住まいがモットー。

 秀樹社長は、以前老舗のハウスメーカーだった太平住宅に勤務しながら専門学校で家づくりの基礎を学ぶなど日々努力を重ねていたが、自分の考える工務店のあり方に矛盾を感じて退社。平成3年にUターン、家業を継承した。
 常次さんは、秀樹さんに会社を継承してからは、経営のことには一切口を挟まず、通帳をポンと渡し、「任せたぞ」とバトンタッチ。「経営を前進させるためには停滞があってはならない。すぐに動ける態勢構築が先決」が口癖だったという。

 二代目に就任した当初は、年間十数棟の実績だったが3、4年前から新築棟数30台乗せを実現、経営のコツをつかみ始めたそうだ。「社員の入れ替わりもあって、経営の難しさを実感した日々」とこれまでを振り返る。「シンプルでクオリティ豊かな暮らしを想像できるリアルサイズの住まい」をテーマに掲げ、食から家づくりを考える工務店を目指している。キッチン、まかない食を中心に据えた展開も視野に入れる。全国展開の住宅専門誌やテレビなどにも取り上げられ、県外の大学から入社してくるスタッフも増えてきた。
 「企業のホームページは、いいことしか伝えていない。家づくりの魅力や楽しさは、実際に体験しないと解らない。ワークショップ、インターシップなどに参加することで具体的な理解が進む。ちゃんとした受け皿づくりをする必要がある」と指摘も忘れない。

 現在の住宅市場の今後については「頭打ちの状態が続く」と検証。「発展へ向けた、より一層の商品(住宅)開発、多角経営、市場の需要・ニーズ開拓が求められる。業界を挙げて10、20年先を見据えた種まきが大切。住まいに関わる人づくりも重要なポイント」と、指摘する。
 そして再度の成長期に乗せるためギアチェンジして、海外需要開拓にも目を向けた取組みが必要―と、古都の住まいの佇まい、匠の技による建築物、海外の有名建築物などを巡る行脚を続ける。

更新日:2016/09/20

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