住まいの創造人
会社の成長からつながる顧客満足度
シンプルな商品構成とモデルハウスで勝負
ロイヤルホーム(株) 代表取締役
久保 範和 氏
志學館大学法学部を卒業、「最初は弁護士でも目指そうかな」と思っていたそうだが家づくりに目覚め、卒業前に会社を設立。異例のスピードで地場工務店の経営者に。「しっかりシェアさえ取れれば棟数は稼げる」と、若手経営者らしい発想で、着実に実績を積み上げる。望夫人との間に1歳10ヵ月の和臣君が誕生、新米パパとしても奮闘中。趣味は、旅行とゴルフ。高校時代はラガーマンとして活躍した。好きな言葉はギブアンドテイク。会社所在地は、霧島市国分中央3丁目36-14。同市出身の28歳。
徹底したターゲティングとブランド戦略を打ち出す若手経営者。「社員の成長こそが会社の成長につながる。そして、社内満足度が顧客満足度に変わっていく」と、経営理念を満足度に置き、シンプルな商品構成、売り切り型モデルハウスの展開、積極的な宣伝による戦略で勝負を賭ける。設立7年で42棟という急成長を遂げた経営者は、発想も行動も効率的でシンプルだ。
創業のきっかけは、国分ハウジング(霧島市)を経営している父・一元さんへの憧れから。その一方で「住宅業界、不動産業界はマーケティングが遅れている」と気づき、「しっかりニーズをとらえてマーケティングを効果的にやれば、大きな可能性がある」と、踏んだからと言う。
起業を決めたのは大学4年のとき。セミナーなどに積極的に参加し、いろいろな業界を学ぶ中で「工務店経営が自分の性に合っていたし、やり方次第では一番のびしろのある業界と思った」と振り返る。母・まつよさんが代表を務める宅建情報センターの社名をロイヤルホームへ変更し、昨年6月から社長に就任した。
戦略としては複数のモデルハウスを建て、常に3~6棟を公開、完成見学会開催とオープンハウスをPRする中で「家が欲しい」と思う顧客層を絞り込み、その顧客の要望に応えられる必然性をアピールして、確実に顧客として取り込む。さらにターゲティング対策では、「ハウスメーカーの家が欲しいけど、そこまでお金を出せない層」に絞り込んで、ブランドをしっかり売り込む作戦を実践している。
パナソニックビルダーズグループが建てるテクノストラクチャー工法の家は、地震のエネルギーを制震装置が吸収し、建物の揺れを30~50%低減する。
「しかもハイクォリティーな住宅設備を備え、お手ごろ価格。いざというときの強い家は丈夫で社会責任も担える。このブランドならやれると確信を持った」というのがこのメーカーを選択した理由。さらに耐震性の高い部材・テクノビームを使用、一棟ごとに構造計算を行い、災害に対する強度を確保、安心・安全、室内の空気をコントロールする快適性、高気密・高断熱、省エネに加え、住みたい場所、住みたい街をかなえる理想の家。
エコ住宅でアジアンモダン、開放的で快適性を備え大開口とロットのある2階リビングの家、ライフスタイルで選べる家、住みやすい工夫を満載した家、吹き抜けでつながる二世代住宅など、実に選択肢も多彩。
昨年は、施工・安全・原価管理など工程管理の徹底を競う一流の現場塾研修に参加して最優秀賞を受賞。全国のダンドリワーク導入説明会などにも積極的に参加、生産性向上のためのスキルアップを図るなど常に前向きだ。創エネ・省エネのゼロエネルギー住宅・ZEHの家に関しては棟数比率も圧倒的に高く「地場工務店では全国No.1」と、胸を張る。「一流の現場監督による正しい家づくり・正しい施工こそが弊社の現場理念。だから釘一本落ちていない現場は自慢です」。久保社長は自信を見せる。
一見して効率追求型の経営に見えるが、同社の強みは20代中心の若い営業。学生時代からの同級生だという営業主任をはじめ、信頼のおけるパートナーを精力的に集めてきた。このほか賢い家づくりに不可欠なファイナンシャルプランナー、商談中に必要な保育士の採用など戦略的に営業を強化、創業当初からぶれない経営は一貫している。「優秀な社員が育ち成長してこそ会社の未来が開ける。だから社員教育、人材育成を何よりも優先する。このことが顧客満足度につながる」と、視点の持ち方も独特だ。
ここ7年で急成長できた理由について「顧客ニーズを踏まえ、それにしっかり計画的に対応できたから。チャンスとターゲティングのマッチングがうまくはまった」と、その目は自信に満ち溢れている。今期は65棟、来期は80棟、2019年度には100棟の大台を視野に入れる。挑戦する若手経営者の表情は輝いていた。