住まいの創造人
家づくり通じ真の暮らしを提案
お客様のこだわりを実現する企業
(株)深野木組 代表取締役
深野木 信 氏
鶴丸高校から九州大学に進学し、大学院修士課程を修了。大手ゼネコンの間組で勤務後、昭和62年に家業の㈱深野木組に入社。平成12年に代表取締役に就任。一級建築士、一級建築施工管理技士、インテリアプランナー、住宅ローンアドバイザー、CASBEE戸建評価員、防犯設備士、NPOかごしま快適住まいネットワーク理事長、鹿児島市建築紛争調整委員、県建築士会副会長。妻和子さんと長男の3人暮らし。本社所在地は鹿児島市荒田2丁目28-19。同市出身の59歳。
同社は、昭和32年に父・故嘉彦氏が創業した中堅の地場工務店。一歳上の兄が歯学部に進んだこともあり、大学では建築学科に進み家業を継承することを決意した。祖父も左官業を営み、家には住み込みの弟子がいたことから、木の切れ端をおもちゃ代わりに遊ぶモノづくりが好きな少年だった。
大学4年のときに留年を経験。「人生最大の衝撃だった」が、所属する研究室の教授に報告すると「よし、あきらめろ!」と一言。「そうだ、自分の責任。くよくよしても仕方がない。大学院に行こう」と、気持ちを切り替えた。これが転機となって、社会人や大手ゼネコンの社員なども出品する日本建築学会の設計コンペに応募。レベルの高い全国大会で、3年連続で3位に入賞した。このとき、「どんなに悪いと思う結果も、とらえ方で良い転機となる」という意識が自分の中に芽生え、自信になった。
19歳のとき友人と二人で二ヶ月間、イギリスなど13ヵ国をバックパッキングで歩き回る。多くの西洋建築物に触れ、これまでの生き方を検証するいい機会にもなった。「人生は自分でアクションを起こす勇気が必要。好奇心の裏側にあるチャレンジ精神を大切に」と、何事にも興味を持つようになった。
会社を引き継ぐとき、父の嘉彦さんからは「お客様からの要望に対し、できないとは絶対に言うな」とアドバイスされ、その教えを守っている。この間、鹿児島青年会議所、PTA、県建築士会青年部などいろいろな役職も経験。局面、局面で決断を迫られたが乗り越えてきた。
新築の年間平均棟数は5、6棟。延べでは約400棟に上る。「モノを売るのではなく生活を売る」を信条に、お客様に寄り添って趣味嗜好に合わせた入念な打ち合わせを心掛けている。社員との合言葉は、「お客様のためにならないことは絶対にしない」。お客様との出会いから設計、施工、維持管理の全ての過程において、嘘偽りの無いお付き合いに努める。屋号の風雅匠房(ふうがしょうぼう)は、「懐かしさを感じられ、上品で職人技が生きる手作り感と、納まりのいい家」という意味が込められている。家づくりに対したくさんのこだわりがある。でも、「お客様のこだわりを実現することに一番こだわりたい」と、先を見据える。
紫原のモデルハウス「アーキスタジオfuga」は、延べ床127.05㎡の2階建て。宿泊体験もできる。全ての方に一度で大満足の家を建てて欲しいとの思いから、木の家づくり情報館・図書館「木かげ」を3年前に開設。約360冊の家づくりに関する本が並べられ、好きなときに訪れることができ、本を読むだけでなく、家づくりの相談にも応じる。家づくりに共感する大工にも恵まれ、引き渡し後のメンテナンス、フォローも万全だ。
目指すは、情報に敏感になる企業。数多くの住宅に関する資格を保有し、仕事の傍ら七つの公職をこなす。「失敗できない仕事を担っている職人集団。すべてに100%の信頼関係にある。正しい情報に敏感になり、お客様に知識で負けないように努力している。だから信念を持ってこだわり続けたい」と、業界を担う経営者の言葉は力強い。