住まいの創造人
家をエンターテインメント空間へ
アトリエ建築家とつくる高性能デザイン住宅
成尾建設(株) 代表取締役
成尾 岳次朗 氏
鶴丸高校-東京都立大学(現首都大学東京)工学部建築学科卒業。東急不動産で12年間、マンション、大規模住宅団地の企画・開発等に携わった。その後、家業の成尾建設に入社。取締役を経て2009年から代表取締役。製材所時代にさかのぼれば祖父、祖母、父、岳次朗氏と4代続く家づくりの家系。そこにはモノづくりに懸ける血筋が今も脈々と生きる。経営理念は「お客様の幸せな未来設計図を描くお手伝い」。現在、妻・留美子さんと2人暮らし。趣味は旅行、食べ歩き、ゴルフ。さつま町出身の54歳。
同社は祖父・虎次郎氏がさつま町(旧宮之城町)で興した成尾製材所が始まり。1968年(昭和43年)に祖父と同じ名前を受け継いだ父・虎次郎氏が成尾製材所の建設部として成尾建設を創業した。以来、50年以上にわたって住宅事業一筋、これまで手掛けた住宅は780戸超。創業以来、一棟一棟に心を込めて時代の先端をいく家づくりにこだわってきた。
会社の遍歴について岳次朗社長は、「祖父は父が10歳の時に戦死、祖母は列車や自転車で木材の仕入れなどに走り回り、必死で家業の製材業を支えたと聞いている。今、会社が存続しているのも祖母らのおかげ。創業の歴史を重く受け止めて大切にしたい」と、女手一つで会社経営を引き継いできた祖母・文(ふみ)さんらの苦労に感謝して、功労を称える。
代替わりしても家づくりに懸ける信念、理念は一切揺るがない。お客様のために常に満足度を追求。軸のぶれない経営に取り組む。「お客様から『成尾さんに頼んでよかった』という一言を頂けることが何よりの活力源であり励み」。家を楽しく活力にあふれるエンターテインメント空間にする会社を目指している。
10年前に社長に就任した岳次朗氏。着任時に「一生をサラリーマンで終えるか、それともカタチあるモノづくりに携わるか、家業を継承するまで葛藤はあった」と言うが、「実質3代が関わってきた創業の重み、お客様の笑顔と出会える家づくりの魅力にも惹かれた」と、家業継承を決断した。8年前に、アトリエ建築家とつくる高性能デザイン住宅『R+house』のFC(全国に220社、建築家約80人)に加盟。高気密・高断熱・高耐震・高耐久で、永く住み継げる快適で本物のエコ住宅を提案する。
「高性能でコストパフォーマンスに優れた健康住宅」を啓発するため、賢い家づくり勉強会を意欲的に開催。そこでは、これまで不透明だったコストや分かりにくかった建築家への依頼方法、家づくりの進め方などを施主の立場に立って分かりやすく解説する。さらに、購入してからかかる維持メンテナンス費用など、住宅に関する疑問についても一生のトータルコストの観点から的確に伝え、お得な家づくりを提案している。
年間平均新築棟数は約15棟。時代の変化を見据えながら、売り上げ構成の2割を占めるリフォーム、リノベーションにも力を入れる。年3回の定期訪問でアフターサービスを強化し、リフォーム受注にもつながっている。「信頼関係があればこその賜物」と、客のニーズを汲み上げ、着実に丁寧に具現化して信頼につなげている。「お客様と共にコツコツ一歩ずつ着実に進む」を経営のベースに、今後は社員の若返り化と人材育成に視点を据える。目指す企業像は「家づくりのスペシャリスト集団」。おしゃれなミーティングルームで語る経営者の眼差しは、会社の未来図をしっかり描きながら自信にあふれていた。