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地元工務店の「真の姿」

遊び心と高性能が共存する家
リノベーションで地域活性化

Vol.073

STYLE HOUSE ㈱新屋建築 代表取締役
新屋 祐一 氏

出水商業高校商業科卒。2級建築士、2級建築施工管理技士の資格取得。一般社団法人・リノベーション協議会鹿児島支部所属。趣味は旅行、居酒屋巡り。家族は妻と2人暮らし。好きな言葉は一路順風。

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 パン職人を目指して上阪した父・良美さん(現会長)が帰郷後、地元の大工の棟梁のもとに弟子入りし、修行をして立ち上げた同社。その父と同じような足跡をたどって後を継いだ祐一さん。それも、ある年の盆休みに帰郷した際、親戚の家の上棟式に出席し、晴れ舞台のステージで餅まきを手伝ったことが大工になったきっかけというから、血筋は争えない。その会社も2019年、半世紀という歴史を刻む老舗に成長した。
 「在来工法で培ってきた、出水の気候風土に見合った家。だから地元の材木を使って建てる。それが一番自然だし、しっくりなじむんですよ」。家づくりの話になると、身を乗り出し生き生きと語る。
 2013年4月に2代目社長に就任。個人経営から法人経営に切り替えた。カッコいいもの、時代にそぐわないものを取捨選択しながら50年の実績・ノウハウを大切に家づくりのデータを積み重ねる日々だ。
 新築、リフォーム・リノベとも年間4、5棟。これまでの延べ累計は80棟前後。「設計から施工まで一人で手掛けているためこれが限界。会社が対応できるキャパは決まっている。だから、お客様には待っていただくことにしているんですよ。外注には決して出したくない。人には任せられないから」。家づくりには、徹底したこだわりを持っている。
 創業以来、一度も営業をしたことがないという父・良美さんの後を受け継いだ祐一さんは、「うちの誇りであり、自慢です。これだけは、会社の伝統として守り通したいですね」と、人を頼らない経営に自信を見せる。「家は技術とデザイン性の両軸で建てるもの。お客様のニーズに寄り添う家」がコンセプト。
 久しぶりに出水に帰ってきたとき、駅前に降り立ったら何もない。どこかの街と同じようなシャッター街が広がっていた。「これではいけない。なんとかしなければ…」という思いが強くなった。その時、話題に上っていたのがリノベーション。「駅前をもう一度元気にしたい。この通りをなんとか活性化できないか」。歩きながら考えた。
 「借金なしでチャレンジできる事業」「いろんな食事ができる若者が集まる場所」「なんとかシャッター街をこじ開けたい」「衰退する街の流れを食い止めたい」。これらのことを考えていたときに、鹿児島で開かれたリノベーションのイベントに参加した。その際、思いついたのがワークショップの設立と活用。まず、戦前に建てられた駅前の地元旅館のリノベーションに着目した。

 早速、所有者に相談。1階にカフェ、レストラン、2階に自社オフィスが入るチャレンジショップを開設した。好きな色、質感、ドアノブ、壁などが全部選べるインテリアパーツなどをそろえ、シックな調理用具も集めて展示してあり、足を止めて窓越しにのぞく市民の姿も多い。この輪は、近隣の店舗へ広がる動きを見せ、徐々に人気が出始めている。目指しているのは小さな町の住宅ブランド。「しっかり地元に根付かせたい」と、まちの活性化につなげたい考えだ。
 在来工法と金物工法を融合させる込み栓技術を使ったデザイン住宅にも力を入れており、長持ちさせることにもこだわる。そこには、いい家づくりに向けて利益を減らしてでもやるという職人気質がのぞく。「頼られ、愛される町のお抱え大工」が目標だ。
「とにかく言った言わないのない世界。クレームゼロの維持を目指したい。お客様の疑問にはすべて誠意で応える。決して逃げない。信用、信頼される企業は、父の代から実践してきた伝統である」と、言い切る。
 こだわりは「30坪ハウスがメイン。わざと家のスペースを小さくして住宅性能をアップする、無駄を省く。エアコン1台で暮らせる家」もうたい文句。引き渡し後もこまめな家のメンテナンスにも力を注ぐ。遊び心を大切に、お客様の信頼に応えるデザインと技術力を売りにしている。
 取引企業の社員数は全部で20人体制。基礎、水回り、左官などスタッフの平均年齢は30歳代。「チャレンジを忘れない、楽しんで仕事をする〝チーム新屋〟」と呼ぶ。社長自身も「うちの強みは徹底した現場主義。だから何かあったら現場に行き、自分の目で確かめる。そして動く」を実践する。目指す企業像は「一番仕事ができる集団がいる会社」。

更新日:2020/02/01

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