住まいの創造人
住まい手の「夢」にこだわり続ける
カフェ〝KIMAMA〟は、お客様と語れるだんらんの場
株式会社 三浦建築 代表取締役
三浦 剣士 氏
出水工業高校建築科、東京工科専門学校建築科を経て家業を引き継ぐ2代目。家族は妻・聡美さん、二女の4人。趣味は旅行、スポーツ。地域で開催される野球、バレーボール、駅伝などには積極的に参加する。中学時代の部活で鍛えられた陸上が今の強い体幹の基礎となっている。出水市出身の40歳。
家業の工務店経営を選択したのは、中学時代。大工の父・親雄さんが仕事帰りに持ち込んでくる独特の木の匂い。何とも言えない、あのかぐわしい木の香りに「ああ、いいな」と、嗅覚から大工に憧れた。そのときの気持ちを大切に育み、建築業の道へ。「住まいは、家族との喜怒哀楽をともにして一家だんらんを育む場であり、一緒に成長するのが原点だから」と、楽しそうに語る。
同社の創業は1980年6月。まさに剣士さんの誕生とともにある。家づくりはお客様とともに夢を実現できる大きなイベント。お客様が何にこだわり、何を求めているか、その夢を一緒に共有し、実現できる。父の親雄さん、祖父も大工という職人一家に育った。小さいときの記憶では、棟梁を含め職人が7、8人いて、「お父さんがいっぱいいる感じだった」と、振り返る。
剣士という名前にも真っすぐに生きてほしいという父の思いが込められている。専門学校卒業後に親雄さんが体調を崩し、家業を継ぐため帰郷した。
木の香りに魅せられて、この道に進んだ2代目が父から言われた言葉は、「まずやってみよ。何事もやらないと始まらない」。現場主義を大切にする親雄さんらしい。しっかりと職人気質のメリットも受け継いでいる。経営を引き継いで「聞くとやるとでは大違い。こんな大変だったとは…」と、大変さに気づかされた。でもそう簡単にギブアップするわけにはいかない。お客様との打ち合わせ、見積もり作成、現場監理、プレゼン。色鉛筆で描く手書きの完成予想図を前にした綿密な話し合いなど、どれ一つとってもラクにできる仕事はない。「一棟一棟地道に確実に」の意味を噛みしめながらの精進の日々が続く。
家づくりのコンセプトは「木が見える家づくり」。隠さずに見せる。木のよさがアピールできる家づくり。そして木の香りが感じられる家づくり。
同社の年間平均新築棟数は4、5棟。リノベが1棟。累計建築棟数は約100棟。同社の経営理念は「確実に1棟ずつ」。現場の掛け持ちをせず、1棟に情熱と技術を注ぎ込み完成させる確実性を大切にする。
「地場工務店、設計事務所の看板でお客様のところに訪問営業に出掛けるのはちょっとハードルが高い」と、そこで一旦立ち止まり、ちょうど一年前にカフェと設計事務所を兼ねた2階建ての「KIMAMA」(気まま)を新築、オープンした。近くを走る道路沿いからも目立つ66㎡のおしゃれでスマートな外観。近所の人や知り合いがまさに気軽に相談などに気ままに立ち寄るだんらんの場となっている。1階には妻・聡美さんの趣味を活かしたドライフラワー、手作り家具なども展示。三々五々、近所の主婦らが集まる。
また、弟の友明さんが東京の医療関係の会社に就職していることから「家づくりと医療は健康住宅の観点から切っても切り離せない関係」「家も定期的な点検によるシロアリ予防、雨漏り予防など建物全体のメンテナンスなど健康、予防が重視される時代に入っている」と、コラボ関係の提携を打ち出し、新規会員の募集にも協力している。
今の新築住宅は、地方でもメーカーか地場の有力工務店かの二極分化が進む。人気のZEH住宅は、構造的にも安定、日々進化しており、品質も均一。あとは、どうしてコスト面で差別化を図るか、デザイン力でどう勝負するか。常に発展のキーワードを見極めて、最終的には「お客様との信頼関係をどう高めるかが課題」。そのためには、日々変化するより多くの情報を分析・検証する中で、確かな情報に基づいて家づくりを具現化し、揺るがない信頼関係を築くことと、言い聞かせる。
創業以来、住設機器メーカーにいた営業所長などと親しくしており、きたんなく情報交換する中でより多くの人間関係を築くことに力を入れる。