地元工務店の建築実例
プロがオススメする最新の建築事例です。
ちょうどよいサイズが居心地のよさをつくる、光と影を味方につけた美しい空間
- 姶良市/M邸
- 【施工エリア】鹿児島、北薩、南薩、姶良・伊佐、大隅、熊毛・大島
- 【面積】延床:109.50㎡(33.12坪)
1階:64.00㎡(19.36坪)
2階:45.50㎡(13.76坪) - 【構造】工法:木造軸組在来工法/基礎:ベタ基礎
- 【建築本体価格帯】2,000〜2,500万円
あえて天井高を抑えたジャパニーズモダン
モダンな黒に、玄関まわりの木目があたたかみを加えるM邸のファサード。扉を開けたその先には、シンプルでコンパクトながらも、居心地がよくて使いやすい空間が広がります。Mさんがお手本にしたのは、創建のモデルハウス「薩摩町家(さつままちや)」。以前、本誌でも紹介したこちらを訪れ、「こんな家に住みたい」と感じたそうです。特に天井が高すぎないこと、素材の色しか使っていないこと、廊下のないプランを気に入り、自宅にも取り入れることにしました。
1階は、LDKと小上がりの和室、水回りを配置。床に座って生活することを前提としているため、キッチン部分の天井は決して高くはありませんが、リビングの吹き抜けとデッキの開けた視界により圧迫感はなく、それどころか、居心地の良さから安心感を覚えます。和室の天井は、リビング側から奥へと板を渡し、奥行きを表現しました。小上がり部分に腰掛けてデッキを眺めると、風に揺れる緑の稲苗が一面に。収穫期を迎えると金色の風景が広がります。「せっかくのロケーションですから、デッキにはあえてフェンスを設けず、外の眺めを室内に取り込めるようにしました」。設計を担当した同社の松原さんはこう話します。
居心地のよさの演出は光の取り入れ方にも見ることができます。必要以上の採光面を設けていないのは、照明のやさしい灯りを生かして、視線を引き付けるのが狙い。光と影を受け止める室内は、シンプルな意匠を徹底し、素材の本質が楽しめるようにしました。シンプルな「箱」は家具や照明によっていかようにもアレンジが可能。Mさんの暮らしや好みの変化に柔軟に対応し、永く、楽しく暮らすことができます。
空間のメリハリでコストを抑える
空間の使い方はコストに直結する部分。必要な場所に必要なだけのスペースを割くことを念頭に置き、コンパクトに納まる2型キッチンをはじめ、各室で空間を有効に使う工夫を施しています。外はサイディングで仕上げ、室内にこだわりを詰めたことでもコスト配分にメリハリを付けることができました。