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爽やかな風景とともにある平屋建ての住まい
その家は、夏の日差しを受けて青く光る田んぼの風景と調和するように建っていました。ご主人の勤め先もご夫婦の出身も日置市ではないのですが、仕事の関係で県内のさまざまな土地に移り住んだご家族が家を建てるにあたって選んだのは、周りに懐かしい田園風景が広がるこの土地でした。思い描いたのは、木の温もりを感じる小さいけれどおおらかな家。そして、庭で育てた野菜を使った料理を楽しむ、そんな暮らしです。
室内には間仕切りがほとんどありません。平屋建てのこの家に、個室は一つだけ。中学生と小学生の姉弟のためのスペースはリビングとひと続きになった一角にベッドを並べただけというシンプルなものです。「子どもと一緒に暮らせるのはわずかな年数ですから」と、家族ができるだけ時間を共有できる空間を心掛けたそう。そんな開放的な住まいに、外との距離を縮めてくれるウッドデッキや寒い冬の生活を彩る薪ストーブを取り入れて、自分たちらしい暮らし方をかなえてくれる住まいに仕上がりました。
帰宅したご主人が、家族の時間を過ごした後に仕事を片づけるためのスペースは、12帖もの広さを確保した屋根裏のロフトです。天井高は140㎝ですが、カウンター前面からリビングを見下ろすことができるので圧迫感は全くなく「ここで寝ることもありますよ」と、ご主人が言うように落ち着ける空間となっています。
生活に便利な住宅地という安心感を保ちながら、東に広がる里山の風景を暮らしに取り入れた和みの家です。そんな豊かな環境と、それにつながる雑木の庭へと開いていくオープンな空間は住まいを外へと広げていきます。庭のビオトープでは水辺の生き物と触れ合い、冬には薪ストーブを囲んで家族と語らうMOOKの住まい。それは、自然に親しみ、自然体で暮らしていく、自然素材と自然の恵を取り入れたパッシブデザインの住まいです。