住まいの創造人
地元チームで建てる本物の家
臨機応変に顧客のニーズに対応
(株)アイランドホーム 代表取締役
山口 俊彦 氏
加治木工業高校土木科、大分工業大学(現在、日本文理大学)を卒業後、不動産の販売を仲介する東京の会社などに13年間勤務したあと、自分の手で家づくりの仕事に関わりたいと帰郷。資格を取得する一方で人材を育て、平成17年に地場工務店を創業した。従業員数はグループ全体で20人。趣味はゴルフ。好きな言葉は一期一会。家族は子ども4人で、長男を除く3人が父親と同じ加治木工業高校の卒業。現在は加治木町の自宅に由美夫人と長女、三男の4人暮らし。会社所在地は姶良市宮島町11-4。同市出身の54歳。
創業当初から周辺とのマッチング、住み心地、使い勝手、コスト、完成後のメンテナンスまで顧客のニーズに合わせ、すべて地元で賄える家づくりをベースにしている。そこには「よりいいものを安くで」という山口社長の思いがある。「安心・安全・信頼」をコンセプトに、きめ細やかな対応は勿論、生涯顧客としてお客様を大切にする理念を掲げ、地場工務店のよさ、強みを生かしながら工夫する戦略が随所に生きる。
創業のきっかけは、東京の不動産会社勤務時代に品質、納期、コスト面でいい加減な現状を目の当たりにして疑問を抱いたこと。「地元のチームで顧客が求める本物のいい家を造りたい」という思いにかられて帰郷、創業した。以来、客のニーズは何かを問い続け、街を歩き、家を見て回り試行錯誤しながら現在の地歩を築いてきた。
顧客の口コミで評判が広がり、3年ほど前から年間約30棟の安定した新築実績を積み上げている。中古住宅を購入し、リフォームして販売するなど市場を先読みしての対応も早く、年間3、4棟の販売実績を維持。特にメンテナンスには力を入れ、1、3、6ヵ月、1、3、5、10年と、きめ細かく点検する。販売した物件ではクレームゼロというのが同社の大きな自慢だ。
同社の強みは、設計・施工・販売部隊が三位一体となった総合企業。「地元企業だからこそ逃げも隠れもできない。だから信頼が一番。家づくりは、よい仕事をしてきっちり最初から最後まで面倒を見る一貫した対応が生命線。最近では、市場変化への対応、スピードも重要なキーワード」と、先手必勝の戦略を掲げる。自社で完結する家づくりをモットーに掲げ、社名もタウンページをめくると最初に出てくる姶良との相性のよさからアイランドホームと名づけた。
「姶良地区は、鹿児島県央のへそ部分に当たる場所に位置。人口も増加傾向にあり、公務員の客も多く、活気がある。家づくり、買い物、教育、ビジネスなどさまざまな分野から見て好立地。これからの発展が約束されている地域」と、検証する。「家を買ってよし、住んでよし、老後も安心の地域ですよ」。山口社長のセールストークに力が入るのもうなずける。
さらに〝暮らし上手なキッチン〟などを掲げて全国でFC展開しているcasa carinaなどの県外の勉強会にも意欲的に出席、他社の営業支援システムについても知識を深めている。「今は背広などもオーダーではなく、出来合いを利用し、趣味にお金をかける時代。家も一緒。伸びている企業のソフトなどを積極活用したい」と、シンプルでも必要な機能を備え、客のニーズの変化に合わせ、よいとこ取りの合わせ付けの商品を追求する。
コの字型のパティオ(中庭)を生かした家、廊下を短くした家事動線、小屋裏収納、部屋の機能に対応してフローリングの色を変えるなど、メリハリのある空間設計も際立つ。客のニーズに合わせ、シンプルでも個性が生きる家は、人気を集めている。
今後は少子高齢化で住宅の新築需要は減る傾向。「中古住宅にも目を向けたリフォーム、熊本地震の教訓に対応したハイグレードの賃貸マンションなど総合不動産としての魅力を追求できる会社へ。土地、建物を扱う総合企業として街づくりにも貢献したい」「将来、鹿児島市内にも進出し、自分の力を試したい」と、中長期展望の戦略も視野に入れる。