住まいの創造人
若手が集まるユニーク経営を実践
土地の履歴に詳しい地元企業が武器
(株)あいハウジング 代表取締役
川﨑 廣明 氏
1962年、鹿児島市生まれ。鹿児島工業高校土木科卒。土木、住宅ハウス会社に勤務後、2007年3月、一般建設業として会社を立ち上げ今年節目の10年を迎えた。最初はアパートなどの賃貸仲介、管理業、宅地造成などが中心だったが、14年から住宅事業に本格参入。年間35棟の新築実績を誇る。宅地建物取引、2級土木施工管理技士、測量士補の資格を所有。家族は妻と一男二女。趣味はゴルフ。好きな言葉は全力投球。同市石谷町(旧松元町)出身の55歳。
社名は、プロゴルファーの宮里藍選手が由来。父親が辞書で最初の方に出てくる字が「藍」で、常にトップになれるようにとの願いから名づけられたことを知り、愛情をたっぷり注ぐマイホームを造る会社に-と、ひらがなの「あいハウジング」に決めた。不動産業で培った多くの人脈を武器に、土地とセットで購入できる住宅販売を展開する。
創業時は苦労を伴うものだが、人脈がつながって順調に進んだ。持ち前のざっくばらんな性格に加え、「土地と家のことなら、川﨑さんに頼めば大丈夫」と、紹介客にも恵まれた。業界で一番の課題となっている人手不足の対応でも、社用車ナンバーに社員の誕生日を採用するなど、気持ちを共有する愛社精神発揚を図っている。さらに、社員の健康維持の一環として、会社ぐるみで体重の減量作戦を実践。成功者に手当を出すなど、ユニークな経営が功を奏し、若手社員が自然に集まってくるようになった。
45歳の創業当初は、「知り合いの多い地元の強みを生かそう」と、とにかく地元にこだわった。最初は小さな事務所を借りて夫婦2人でスタート。規模拡大とともに従業員を増やし、事務所も経営規模に合わせて移転を繰り返してきた。来年1月には、モデルハウスを併設した新事務所を会社の近くにオープンする。
社訓は「人に愛される家づくり」と、実にシンプル。経営理念は、お客様とトコトン付き合い、最後までフォローができる面倒見のよい地元の建築会社。「営業がお客様の会社に行けなくなったら終わり。その数は倒産の数に比例していく」と、川﨑社長は分析する。宅地造成業者の一番の強みは、安定した地盤、日当たり、風通しのよい快適な宅地を誰よりもよく知っていること。「土地の生い立ちや歴史、環境にも精通してこそ完璧な説明ができる」と、絶対の自信を見せる。
家づくりのコンセプトは、耐震に配慮した強くて機能的な家。工法に地震や災害に強いJWOODを採用し、主婦目線で暮らしやすさを追求したmamanの家(全国で80社加盟)を推奨。常にお客様目線を重視する。
目指す企業像は、みんなにすべての面で頼られる会社。そこには信頼の二文字が欠かせない。「任せられる会社」から「いつも応援してくれるサポーターがいる会社」へ。「公共工事が減少し、民間需要を狙って参入する業者が増えているが、わが社は逆にこれから土木事業を強化する」と、総合建設業に向けて発想の転換を図る。
「家を永久的に残すのは難しいが土地は残せる。条件、地盤のよい土地は、利用価値を持続できる」というのが川﨑社長の持論。家のメンテナンスもベテランの専門スタッフを置いて3カ月、半年、1年と定期的に実施。お客様とのコミュニケーションと絆を大切にし、スタッフ全員が〝地域守り〟〝家守り役〟に徹している。オープン予定のモデルハウスは、八角形で直径70㎝の柱が露出した家。奇抜なアイデアが注目を集め地域のシンボルとなりそうだ。