プロがオススメする最新の建築事例です
自然素材たっぷりの空間で症状も気持ちも癒す
JR喜入駅から徒歩1分ほどの静かな住宅地にある鍼灸マッサージ療院『百雅楽(ゆがらく)』。パッと見るとカフェ風で、実際に間違って入ってこられるお客様もいるとか。玄関ホールから待合室はオープンな造り。ふんだんに使った木の風合いも心地よく、香りにも癒されます。「鍼灸って何となく怖いイメージ。だからリラックスしてもらいたくて」。
南さんは、徐々に視力を失う網膜の病気を患っています。以前は建築関係の仕事をしていましたが、病気をきっかけに盲学校へ通い、必死の努力で鍼灸マッサージ師の資格を取得。当初から開業を考えており、勉強の息抜きに図面を書いていたそうです。通年の快適性、キレイな空気…訪れる人のことを第一にした構想は、マエダハウスの住まいづくりのコンセプトとも合致。天然木やデコスドライ断熱など、自然素材たっぷりの空間に仕上がりました。
待合室は住宅でいえばリビングです。開放的で、つい長居したくなるほど居心地もバツグン。施術フロアへのドアには、南さんが名付けた「癒しの扉」のプレートが。施術室は個室タイプですが、間仕切り壁の上部を開口したり、扉ではなくパーテーションで仕切ったりと〝抜け〟を設けました。これは圧迫感を抑えるとともに、空気循環をよくして温度差をなくす効果もあります。
南さんとは建築士会などで以前からお互いを知っていました。私自身、鍼灸院に通ったことがあるので、患者を思う南さんの配慮に感動。同時に、ご夫婦のこれからも楽しんでもらいたいと防音室にも情熱を注がせてもらいました。木を生かした空間演出で、南さんご夫婦も訪れる患者さんも、心地よく居られる場所になったと思います。