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誰もがリラックスできるやすらぎの空間が完成
S邸はお寺の住職が住む家、つまり庫裏(くり)です。とはいえ、暮らし方に合わせた間取りや動線の配慮を行うのは、一般的な住宅と変わりありません。少し違うのは、行事などで一度に多くの門徒さんが集まること。以前から、門徒さんや地域との親交を大切にしてきた経緯もあり、玄関ホールからすぐに2間続きの客間を配置しました。その奥につながるLDKも、来客のおもてなしを意識した造り。ワンフロアのリビングダイニングには、南側に広がる田畑と山並みを一望できる大きな窓を設け、開放的な空間に。室内からの視線を邪魔しないようウッドデッキの板幅にも留意しています。一方で、造作したテレビボードにはサイドに子どものランドセルや道具をさっとしまえる棚を用意。リビング学習がしやすい環境も整えられています。
食事をふるまう機会も多いため、キッチンはセミクローズを採用。これはお客様から調理をする奥様が見えないようにするため。特にカウンターの高さや間口の幅は現場で何度も打ち合わせをして決めたと言います。そこには「キッチンでの作業を気にせず、景色を見てゆっくりくつろいでほしい」との心遣いが現れていました。家事や来客のもてなしで忙しいことも多い奥様。1階はキッチンを中心に、客間とLDKをくるりと回遊できる動線で、スムーズな動きをサポートしています。
家族だけでなく、多くの人が集う空間ということを意識してプランを作りました。造作したダイニングテーブルは座卓にもなり、客間の座卓とつなげて大人数が座れるようになっています。S様ご夫妻とは古くからの知り合いで、その温かな人柄のファンでもあります。訪れた人がそれを感じられるような雰囲気づくりにも注力。施工は当社と、同じ地元の有川建設が共同で行っています。